犬の熱中症対策とは?
- kiiao2327
- 5月23日
- 読了時間: 7分

日本の夏の暑さは人にとっても生死にかかわるほど危険ですが、犬は人以上に暑さを苦手とします。
熱中症と診断された場合の生存率はわずか50%しかなく、わずか15分で死に至るとも言われています。犬には汗を出して体温を下げるような機能はありませんし、人のようには効率的に体温を下げることができません。
特に、被毛が厚いダブルコートの長毛犬、気道が短く体温調節がしにくい短頭種、熱を吸収しやすい黒っぽい毛色の犬、輻射熱を受けやすい足の短い犬、直射日光や紫外線などの影響を受けやすい短毛種、北欧犬種、肥満の犬、心臓病、腎臓病、呼吸器疾患などの持病がある犬などは特に暑さに弱い為注意する必要があります。
室内にいても油断は禁物!!
『留守番中、停電になって冷房が切れた』『センサーが起動せず冷房が切れた』『日向ぼっこをしているうちに熱中症になった』『高齢、病気のため、日が当たって体温が高くなっても移動できなかった』などのケースも考えられるため、万が一のことを想定した対策をしておくことが大切です。
また、朝方や夕方であっても蒸し暑く湿度が高い日であれば、室内でも熱中症になる危険性があるので十分注意し、快適で安全な温度に調節ができる環境で飼育してあげてください。
熱中症のサイン
軽症
◻︎ハアハアという浅く速い呼吸◻︎体が熱い◻︎よだれが多い◻︎落ち着きがない◻︎ぐったりとしている◻︎口腔粘膜の乾きなど
中等症
◻︎けいれん◻︎泡を吐く◻︎嘔吐◻︎震え◻︎目や口の中の粘膜の充血など
重症
◻︎意識がない◻︎ぐったりとして動かない◻︎歯茎が白い◻︎舌が青紫色◻︎吐血◻︎下痢・血便
愛犬のための熱中症を予防するためのポイントとは
1熱中症のサイン、特にパッテイングを見逃さない。手で触って普段から温度を把握しておく。(普段より熱く感じた時はすぐに体を冷やす。
2室温は25〜26度、湿度は50%くらいになるようにエアコンで調節する。4クレートやゲージなど、犬を狭いところに閉じ込めない。室内の風通しに気を付けるほか、留守中はカーテンなどで直射日光を避け、エアコンをドライ(除湿モードでつけておくなどして室温や温度を調整する。犬が快適な場所を求めて自由に行き来できるようにしておく。
3熱中症は室内でも起きる。愛犬が普段いる時の場所の温度をチェックし、留守番させるときも、事前に冷房の効き具合を必ずチェックする。
4クレートやゲージなど、犬を狭いところに閉じ込めない。特にゲージは設置場所に注意。窓際はエアコンをつけていても高温になったり、逆にエアコンの向かいは冷気が当たって冷えすぎます。
5愛犬の被毛にあった手入れを怠らない。ダブルコートの犬は下毛をブラッシングでしっかり取り除くことが大切。カットしても良い犬種は毛を少しカットする方が良い場合もある。(サマーカットしてはいけない犬種があるので注意が必要。)
6炎天下の散歩は避ける。アスファルトの表面は直射日光と輻射熱で50〜60度にもなる。(肉球を保護する靴や靴下も利用すると便利です)アスファルトではなく土の上や草の上を歩かせるようにする。普段より散歩の時間を短くする。
7外で遊ばせたい時は、庭などに水を撒いて地面の温度を下げてから遊ばせると良い。
8必要に応じて、洋服を着せて直射日光や地面からの輻射熱を遮る。首元や背中を冷やす冷感グッズの利用やペットカートに乗せて緑の多い公園へ行くことも良い。
9散歩をするときは日陰を選び、20分遊んだら10分休憩を取ってクールダウンさせ、水を十分に飲ませる。お水をあげてもなかなか飲んでくれない場合は、水分をたっぷり含んだ液体状のおやつで水分補給をすることもできる。
10散歩から帰ったら、体に触って体温をチェックし、足裏に火傷がないか確認する。
早めに対処しないと後遺症や死の危険も
熱中症は、軽症のうちに『涼しいところで休ませる』『水分と塩分を補給する』『体を冷やす』といった処置をすることで通常は何事もなく回復します。しかし、対処が遅いと、死に至ることも珍しくありません。高体温による影響から後遺症が残る場合もありますので、愛犬が熱中症のような症状を見せた時は、大至急の処置を始めなければいけません。
大至急の処置
①愛犬を涼しい場所に移し、体に濡れたタオルを被せて、扇風機やドライヤー(送風モード)、うちわなどの風を当てて体温を下げる
保冷剤がある場合は、薄手のタオルで包み、体の内側(お腹など毛が薄い部分)、胸腹部、脇の下、鼠蹊部など太い血管(動脈)がある部分に当てる(代用として自動販売機で買える冷たい飲料水、冷凍庫にある冷凍商品、ビニール袋に入れた氷など)
お水を飲ませる(無理に飲ませると気管や肺に水が入るので注意)
②体を冷やしながら3〜5分毎に1回は熱を測り、平熱に戻るのを待ちます。10分経っても戻らない時はすぐに病院に運ぶ。
③少しずつ熱が下がり(39度以下にしない)一度体を冷やすのを止め、様子を見る。
そのまま落ち着くこともありますが、再度体温が上昇する場合や、血栓症などの併発症が発症することや体内の循環器、他の臓器がダメージを受けている可能性があるので、落ち着いていてもその後病院で診察を受けましょう。
外出時に熱中症の疑いで倒れた場合は、
抱えられる大きさであれば、抱えて輸送する。抱えられない体重の場合は誰かに日陰への移動を手伝ってもらい、体温を下げる処置を行いながら、かかりつけの動物病院に電話し、『熱中症の疑いがある』ことを伝えた上で、タクシーなど安全な手段で搬送する。
自宅内であれば
冷水で濡らしたタオルを体にかけたり、風呂場や流し台で体全体に常温の水をかけるなどして、急いで体温を下げることが重要。(体の外側、頭や首、背中から腰部分は、冷たすぎない水道水など、常温の水で冷やす。急速に冷やすと、毛細血管が収縮して体内に熱を閉じ込めてしまうため、氷などは使わない。
犬用の体温計を持っていますか
犬の正常な体温は38〜39度です。熱中症になると40度を超えることもあり、その状態が続くと危険です。愛犬の正確な体温を知るために、人用ではなく、愛犬用の体温計(予測式体温計)を用意し、お出かけの際にも持参しましょう。(人と犬では予測体温は異なります。)全身を被毛で覆われている犬の体温は、体温計を肛門に差し込んで直腸温を測ることで正確に検温できます。
冷房が苦手な犬も
特に子犬や高齢犬、病気がある犬などは冷房を避けようとしたりすることもあります。冷気の当たらない場所に行けるようにしたり、扇風機などで風の流れを作ったり、冷感マットを使用したりして快適に過ごせるようにしましょう。
地震などによる停電やエアコンの故障に備えて
クールマットや氷水を入れたペットボトルなどを部屋に置いておく
十分な水分補給ができるよう、飲み水の量や器の置き場を増やす
冷却マットや保冷剤などには、高吸収性ポリマー、防腐剤、形状安定剤、エチレングリコールが含まれている製品がありますが、それらの場合、犬がかじってしまうと中毒を起こす可能性があるため使用は避けてください。
車で出かける場合
日の当たる車の中は、非常に危険なので少しの時間も車内に残さないようにしてあげてください。特に日の当たる場所に置いた車内の温度は、10分で10度以上も温度が上昇してしまいます。また、車内でも水分補給を忘れないようにしてください。
外から車に入れて10分経つと、
外の気温20度→車内の気温31度
外の気温30度→車内の気温40度
外の気温34度→車内の気温45度
まとめ
犬は暑さに弱く、熱中症は重症になると命の危険がある病気です。
ですが、正しい知識を持ち、対策していれば防ぐことができます。普段から、愛犬を観察し、特に暑さが出てくる5月ごろから部屋の温度や湿度、散歩時間に気をつけていきましょう。また、外出時には保冷剤や水を持ち歩くようにしたり、犬が快適に過ごせるように万全の準備をして暑い夏を乗り切りましょう。









コメント